「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」を読みました。著者のクリス・アンダーソンは、ロングテールという言葉を世に送り出したWired誌の編集長です。Amazonでベストセラーになっていますので、すでに読まれた方も多いと思います。
以下、本の紹介より概要抜粋
”あなたがどの業界にいようとも、〈無料〉との競争が待っている。それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る。このフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか?
●無料のルール
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう”
本書では、さまざまな事例が取り上げられますが、特に面白かったのは、オープンソース(Linux)に対するマイクロソフト(MS)の反応のエピソードです。
本書によると、1.無視→2.怒り→3.共生といったプロセスを経て現在に至っています。
1.無視:
まだLinuxが出てきた1990年代半ば、MSの反応は「なんだか知らないが小さいハエがうろうろしているぞ」でした。しかし、リーナス・トーバルス主導のもとでLinuxは成長していきます。この原動力はリーナスのリーダーシップに加えて、反MSというエンジニアの対抗カルチャーも大きかったと述べています。
2.怒り:
2000年頃から、MSの牙城である企業向けサーバーでLinuxが採用され、そのシェアが10%を超え始めると、MSとしても無視できなくなり、敵意をむき出して対抗戦略を打ってきます。「動作保証ができない」「パフォーマンスがでない」などのネガティブキャンペーンを行うようになります。
3.共生:
現在、LinuxはエンタープライズサーバとしてはWindowsのもう一つの選択肢として、その地位を確立しています。このようになると、顧客側の要望から、MSはLinuxを否定するのではなくLinuxとの連携を模索し始めます。現在様々な連携が取られています。
これはOSのオープンソースの話ですが、KSKソリューションズが行っているBI(ビジネスインテリジェンス)のオープンソースおいても同じことが起きるでしょう。(実際に起きはじめています)なぜならLinuxのユーザーは企業ユーザーであり、ターゲットのお客様は変わらないからです。お客様が変わらない場合、当然求める便益の本質は変わりません。お客様(企業)は、一定の品質・機能・使いやすさが担保された中で、もっとも低コストなものを求めています。
オープンソースBIは、現在「無視」の段階から「怒り」の段階に入りつつあります。今後、商用ベンダーが気付いた時には、フリーの波が足もとまで来ていたということが起きるでしょう。ただOSの世界には、MSという巨人がいましたが、現在BI業界には純粋な巨人がいません。買収されてSAP、IBM、Oracleとなり、BI専業ではなくなりました。ここでは、OSとは異なるエコシステムが形成されていくことになります。これからが楽しみです。